20歳前半の頃
扁桃腺が腫れて
1週間程
入院したことがあった…
あまりの高熱と
喉の痛みに
入院先の病院では
扁桃腺を取り除く手術を
勧められていた
『この高熱と痛みから
… 一刻も早く解放されたい』と
手術を受ける方向で
僕の気持ちは固まっていた
しかし・・
扁桃腺というと
免疫をつかさどる
免疫器官のひとつ
免疫というと
病原体や毒素など
自己の体内に生じた
不要成分を排除しようとする
生体防御システム
ある病原体に感染して
回復できると
抵抗力を持つようになり
同じ病気にかからなくなる
大切なシステム
手術では
簡単に取れるから
何の心配もないよと
説明を受けながら
果たして
本当に取ってしまって
いいのだろうか?
簡単な手術だからといって
メスを入れてしまって
いいのだろうか?
扁桃腺がなくなってしまったら
今後の人生に
何か悪影響はでないだろうか??
という疑問と不安が
気持ちに迷いをもたらし
決断を遅らせていた
しかし意思表示を
しなくてはならない
タイムリミットは
刻一刻と迫っている
『もうあれこれ悩んでいる暇はない』
事実、高熱と喉の痛みに襲われ
『早く何とかしてくれ!!』と
僕のカラダは悲鳴をあげている
『もうとるしかない!!』と
手術する方向で意思を固め
病院のベットに横たわり
腕に繋がれた点滴の管と
ポトポトと落ちている点滴を
ボーっと眺めていた時・・
思いもよらない出来事が起こったのだ!
インターンだろうか・・・
まだ医学部を卒業したばかりの
若い男性の医師が
扁桃腺の痛みと高熱に悶え苦しむ僕に
あるアドバイスをしてくれたのだ
それは、
手術を受けようとしていた僕にとって
まさに青天の霹靂
九死に一生を得たような
そんな感覚をもたらした
白衣の天使!?
いや
白衣のスーパーマン登場!
その医師の一言が
その後の僕の人生に大きな影響を与えた
忘れられない一言になった
果たして僕の扁桃腺は
一体どうなってしまうのか!?
扁桃腺の運命やいかに!!
若手医師の言った一言とは
それは、、
そ、それは、、
『僕だったら取らないな』
まさか!?
病院では手術を勧めているのに
病院側の人間であろうこの医師は
僕に予想外のアドバイスをしてきたのだった
そして・・・
優しい口調でこう話を続けた
『高熱で苦しいし痛いのは分かるよ』
『だけど扁桃腺は免疫を司る大切な免疫器官なんだ』
『寝不足や過労など無理をしていないかい?』
衝撃的だった・・
確かにその頃の僕と言ったら
遊ぶことに一生懸命で
寝る暇を惜しんで
夜な夜などんちゃん騒ぎに
夢中になっていた
栄養・休養・運動のバランスもバラバラ
そんなもの
イケイケの若い僕にとっては
関係のない事だと思っていた
『この辛さを噛みしめて』
『2度とこんな辛い思いをしないように』
『もう一度生活を見直したらどうだい!?』
『それでもダメなら次回切ればいいんじゃない?』
僕にとって病院というところは
薬を出して患者の苦痛をやわらげ
病気があれば手術をしてくれる
そんな場所だと思っていたのに
まさか・・
まさか・・・
『この苦しみを噛みしめ』
『自分の生活態度を見つめなおせ』と
こんな説教を言われるとは
思ってもみなかった
結局ギリギリのところで
手術を回避し
扁桃腺は今もなお
僕の免疫機能を
つかさどっている
僕の人生において
予防や日頃のメンテナンスの
重要性を
いやというほど
味わう事ができた
貴重な体験となった
今考えると、
若く経験も浅い医師ではあるが
僕にとっては
最高の先生だったと思います
それ以来・・
僕の扁桃腺が腫れたことは
一度もない
あの時の先生のように
患者さんの人生をも変えてしまうような
そんな治療家になりたい